日本マレーシア学会 (JAMS) は,会則の定めにもあるように,今日のマレーシアという国家や社会に限ることなく「マレーシアが関わる幅広い現象・地域に関する研究」の促進と社会への還元を目的として活動してきました.2022年度~2023年度の理事会によるJAMSの運営においても,この点を再確認しつつ,マレーシアないしはより広くマレー世界に様々な観点から関心を持つ人々が活発に交流し,意見・情報交換できる場を会員の皆様の協力の下に発展させていく方針です.そのために,大会・例会の開催,会誌『マレーシア研究』の発行,他の学会・研究会との連携,社会連携等の従来からの活動の充実を図ることはもちろんですが,2022年度~2023年度の運営においては,特に以下の2点に留意していきたいと考えています.
第1に,2020年春に始まる新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大は2022年度に入っても収束に至らず,社会に大きな災禍と混乱をもたらしてきました.しかしながら従来の人々の活動に様々な観点から見直しをもたらす機会となったことも事実であり,そこで得られた知見をJAMSの活動にも活かすという点です.2020年度,2021年度の大会はオンラインで実施しましたが,そのことにより,海外の研究者にシンポジウム等にご参加いただくことの敷居は格段に低くなりました.地区ごとに行われていた例会を全国例会として行うことや,クアラルンプール地区の例会に日本から参加するといったことも可能になりました.一方で,対面で交流することの意義も失われたわけではありません.2022年度~2023年度の理事会では,研究大会担当と地区例会担当の理事を兼務とし,新たな環境に即したよりよい研究集会の方式と魅力ある内容に関して統合的に検討を加えていきます.
第2に,次世代を担う若手研究者の支援という点です.日本におけるマレーシアとの交流を目的とした組織や団体は様々ありますが,JAMSの重要な使命はやはりなんと言っても学術文化の発展という面からの貢献にあります.質の高い学術成果を生み出し社会に還元していくためには,各世代に充実した研究者群を確保していく必要があります.2021年度には若手研究者の外部資金獲得のための申請内容に助言する企画を実施しました.2022年度~2023年度の理事会では若手研究者支援担当の理事を置き,研究集会の企画とも連動させながら,若手研究者の支援に力を入れていきます.
以上の方針の下,会員の皆様からご協力や様々なアイデアを頂きなら,2022年度~2023年度の理事会メンバー一同,JAMSの運営に取り組んでいく所存です.
会長 永田淳嗣