日本マレーシア学会(JAMS)の運営方針

2010年度がスタートしてから2ヵ月となります。今年度は例年とは異なる天候が続き、野菜価格の高騰や風邪の流行などがニュースに取り上げられておりますが、会員の皆様にはご清栄にて益々ご活躍のことと拝察いたします。
さて、2010-11年度日本マレーシア学会(JAMS)の基本的な運営方針について説明いたします。2009年度の日本マレーシア研究会の会員総会では、学会化が承認され、また学会化と関連したいくつかの事項が承認されました。このことを受けまして、運営委員長たることを承認された私はただちに今期の運営方針を提示し、それは会員総会で承認されました。今期の運営方針は、下記の4点にまとめることができます。

A. 運営体制の整備
B. 学会誌の創刊
C. 研究企画の充実化
D. 公開セミナーの拡充

運営方針

以下、それぞれについて説明します。

A. 運営体制の整備
学会化を受けて運営体制の整備を実施いたしました。具体的には、次の2点を実施いたしました。
・会員への連絡業務などについては、電子化へ移行を原則とすることで、業務の簡素化を実現する。そのため、広報局は廃止し、その機能を事務局の中に吸収しました。
・学術組織の連合体への加盟(具体的には、日本学術会議、地域研究学会連絡協議会、地域研究コンソーシアムなどです)。

B. 学会誌の創刊
学会化と連動して、学会誌を創刊し、学術研究のさらなる活性化を目指します。また、そのことにより、研究発信拠点としてのJAMSの機能を高めていくことを目指します。なお、この業務を担当する組織として会誌編集委員会を新設しました。

C. 研究企画の充実化
前期には研究連携ウイングがあまり有効には機能していませんでした。そうした反省をふまえ、今期は、研究大会の共通論題テーマおよびその他の共同研究の企画立案を研究連携ウイングの担当業務として明確に位置付けました。この目的達成のため、今期の研究連携ウイングには、多様な専門分野の中堅研究者を増員配置しています。

D. 公開セミナーの拡充
公開セミナーは、前期に社会連携ウイングにより「JAMS社会連携フォーラム」としてスタートしました。今期は、この「JAMS社会連携フォーラム」の一層の拡充をめざします。すなわち、テーマや開催方法などを再検討することで、社会のより広範な分野との連携をはかります。また、より多くの会員の皆様の参加を達成することを目指します。

運営方針

以上は、今期の基本的な運営方針について述べました。より具体的かつ詳細な方針については、以下の各項をご覧ください。
2010-11年度、JAMSは学会化に踏み出しました。もとより運営委員のメンバー一同はこの新たな挑戦を成功させるべく最大の努力を傾注してまいります。会員の皆様も、以上の運営方針をご理解の上、どうか前期以上のご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
2010年6月
運営委員長 西尾寛治

(2008/09−2009/10年度の活動方針はこちら

各ウィング・編集委員会・事務局の活動方針

研究連携ウィングは、JAMSを母体とした学術研究活動を充実させるため、大会、地区活動、連携研究会および研究企画を担当する委員から成っています。

担当委員
 田村慶子(大会)
 金子芳樹(関東地区)
 中村正志(関東地区)
 多和田裕司(関西地区)
 黒田景子(研究企画)
 富沢寿勇(研究企画)
 吉村真子(研究企画)

1.学術研究の社会的意義への問いかけと社会連携ウィング発足の経緯
 学術研究の社会的役割や意義とは何でしょうか。もちろん、知のフロンティアを切り開き、次世代への研究につなぐことがあるでしょうし、また、研究成果の一端が教育、企業の活動、日々の生活、趣味、教養の分野などへ還元して社会へ貢献していることは間違いありません。また一方で短期間のうちに学術研究に成果を求めるような偏重した効率主義は、学問の本来的な意味を見失いかねないという危険性もはらんでいます。こうした伝統的な学問の在り方は、今後も重要だと思います。
 しかし、時代の動きは、個人だけでは到底カバーしきれないほどの速さで変化し、多様化しています。例えば、JAMSが扱うマレーシアという国について、もはや一人ですべてを理解できる時代ではなくなりました。私自身、10年以上にわたり行政実務に携わるなかで、JAMS会員、他の官庁、政府系機関、企業、報道関係者などマレーシアや東南アジア諸国にさまざまな形で関わっている人たちとの情報交換や意見交換を通じて、自分なりの国や地域の全体像を把握しようとしてきました。私以外のJAMS会員のなかにも、在外公館での専門調査員、企業勤務、NGOなど狭義の学術研究とは異業種に身を置いた会員が少なからずおり、似たような経験をシェアし共感してきました。また、学会としては最も一般的な会員の経歴として大学院で学位を取得して大学教員となった会員にも教育者という実務者としての立場があり、留学生教育、地域コミュニティへの貢献、高大連携などの社会的ニーズへの対応がこれまで以上に求められている状況です。このようにJAMSには、多様な経歴や背景を持つ会員が多数在籍しているという他の学会にはない特徴があり、JAMSのかけがえのない財産とも言えます。 こうした経験と問題意識を背景にして、2009年度からJAMS社会連携ウィングが発足しました。社会連携ウィングは、他の学会にはあまり見られないJAMS独特の存在として位置づけ、また、新しい社会貢献の在り方をJAMSから他の学会や研究機関に波及させることも狙いの一つとしています。
 社会連携フォーラムは、研究者や実務者といった立場を超えて、マレーシアという地域に対してさまざまな関わりを持つ人が経験や知見をシェアし、それぞれの活動に活かす結節点としての存在を目指しています。ただし、単なる情報交換会・交流会ではなく、それぞれの業種で「暗黙知」や「経験知」として見えにくい知見を「経験知」として「見える化」された共有できる知へと意識的に転換する試みを行っています。

概念図

2.これまでの活動成果
 社会連携ウィングでは、中心的な活動として社会連携フォーラムを実施してきました。このフォーラムの特徴は、多様な背景を持つ会員の参加、非会員による参加、実務者を話題提供者として迎えることなどJAMS会員同士での社会貢献を考えることはもちろんのこと、開けた社会一般との対話の場とすることを目指していることです。2009年から2010年期には、計3回の社会連携フォーラムが開催され、外交、企業、教育、ジャーナリズムを中心に実務者と研究者との間での情報共有・意見交換が行われました。詳しい内容は、会報バックナンバーに掲載されています。
 過去の議論は、社会連携フォーラムらしく多岐に渡りましたが、今後のフォーラムの発展という観点からは、次の点が浮き彫りとなったことが大きな成果と言えます。?異業種間での協働のためには、業種ごとに異なる語りを読み解くための「文法の理解」と「翻訳作業」が必要であることが認識されたこと。?政治など事象としては同じことを対象にしていても、異業によって必要とされる成果物の違いから着眼点、分析の手法、情報の要否の判断基準が大きく異なること。?行政機関の政策的立場や企業の利潤追求など実務者の立ち位置が分析の枠組みとして影響があり、テーマよっては取り上げることすら難しいものもあること。?多文化環境における留学生教育の分野では、東南アジア出身の留学生に日本人教員が東南アジアについて教育するという現象が発生し、日本人学生に対しての教育とは大きく教え方が異なること。

3.2010/11年−2011/12年度の活動計画
 2010年から2011年の新体制での社会連携ウィングの活動は、社会連携フォーラムを活動の中心とて、以下の通りの方向性で調整しています。
 まず、社会連携フォーラムで扱うテーマについてです。前期の成果を活かし発展させる方向で、具体的には、外交や安全保障、教育、企業の分野などが考えられます。また、JAMSだけで行うのではなく、前期に実施したように関心の近い研究プロジェクトや現場の実務者や機関との連携を行っていきます。
 次に開催の方式についてです。回数については、各半期ごとに1回程度で、2010‐2011年期で計4回の開催を目指します。また、開催日は、外部からの参加者は、平日では本務との関係で参加が困難なことが予想されるため、原則、土日や休日に設定する方向です。

4.会員の皆さまへ
 今後、社会連携ウィングは、担当委員を中心に会員の方々や外部からの協力者との間で社会連携フォーラムの企画を具体化し、詳細はメーリングリストや公式ウエブサイトでお知らせします。会員の皆さんにあたっては、非会員もお誘い合わせのうえ、是非、積極的にご参加ください。
 また、会員の皆さまからのこうしたテーマはどうか、知り合いに興味深い活動をしている人がいるなどの情報やアイディアの提供も大歓迎です。担当委員にお知らせください。

担当委員
 川端隆史(ウィング長)
 井口由布
 西尾寛治
 山本博之

JAMSでは、学会誌『マレーシア研究』を刊行します。会員からの投稿をもとに、レフリー制度によって学術的水準が高いマレーシア研究の成果を掲載します。

担当委員
 金子芳樹
 穴沢眞
 山本博之

会計や会員情報をはじめ、JAMSの活動を支える業務を担当します。入会・退会、会員情報の変更、会員用メーリングリストなどについては事務局までお問い合わせください。

事務局はJAMSの広報も担います。会報『JAMSNews』とウェブサイト(ホームページ)は、会員どうし、会員と学界、会員と社会を結ぶ場を提供するものです。今期は、ウェブサイトの定期的な更新および内容の充実、『JAMS News』とウェブサイトの連動などを通じて、JAMSの発信力をさらに高めていきたいと考えています。

事務局へのご連絡は、事務局メールアドレス(secretariat@jams92.sakura.ne.jp)までメールでお寄せください。

担当委員
 山本博之(事務局長)
 西芳実(総務担当)
 坪井祐司(会計担当)
 篠崎香織(会員情報担当)
 新井和広(ウェブサイト担当)

日本マレーシア学会(JAMS)