ソマリアからの報道によると、同国の首都モガディシオで2日、マレーシア人のテレビカメラマンが撃たれ死亡、別のジャーナリストが負傷した。アフリカ連合(AU)の平和維持活動(PKO)部隊が発砲したとの情報があるが、詳細は不明。(産経ニュース 2011年9月3日)
9月4日付けのBERNAMA通信は、スバンにあるマレーシア空軍基地(RMAF)にて行われたナジブ首相の会見内容を伝えた。これは、ソマリアの平和構築に関する報道に携わっていたBERNAMAテレビ局のカメラマンNoramfaizul Mohd Nor氏が、9月2日(金)、首都モガディシオで、四輪車に同乗中、砲弾による巻き添え被害で命を落としたことを受けて行われたもので、Noramfaizul氏(享年39歳)の職務への情熱と奉仕を称えるとともに、同様な危険地域で職務についているジャーナリストたちが士気の低下を招かないよう、激励したものである。あわせて、このような被害を多発させる要因となる武器の拡散という事態に対する警鐘がなされ、Noramfaizul氏の家族に対する政府援助の用意があることについても述べられた。
ナジブ首相は、1990年代の国防大臣時代に、マレーシア軍のPKO派遣地域であったボスニア・ヘルツェゴビナへ随行しており、紛争地域の状況や平和維持ならびに平和構築の実務にも詳しい。マレーシアでは、現在UNDP(日本はドナー国)によりPKOセンターの強化が行われているさなかでもあり、これまでプリンシパル・パワーとしてPKO政策を牽引してきたカナダが、介入の効果からやや引きぎみになってきたのに対し、マレーシアの国際貢献に対する意識は、これまで以上に高まりを見せている。マレーシアのPKO政策は、その規模から注目されることがあまり多いとはいえないが、その内容については、独自のスタイルと一貫性がある。
愛すべき父を失った幼い二人の男の子とその妻の心中を思えば、国や宗教を超えて、誰しもが心の痛みを禁ぜずにはいられないだろう。残された家族と、紛争地域で働く「世界の良心たち」のこれからの平安を願わずにはいられない。
■2011.9.5 荒川朋子