JAMS連携研究会 日本マレー世界研究会(JA'AM)
日本マレー世界研究会(Japan Association for Alam Melayu Studies、JA'AM)は、日本マレーシア学会(JAMS)の連携研究会の1つです。
JA'AMは、マレーシアとインドネシアが相互に影響しあう問題や共通に抱える問題を検討し、それを通じてマレーシアやインドネシアに対する理解を深めるため、JAMS関東地区の若手のマレーシア研究者やインドネシア研究者が中心になって2002年3月に結成されました。東京大学駒場キャンパスを主な会場として、毎月1回の研究会および隔週の読書会を行っています。
JA'AMは研究分野や対象とする時代を問いません。様々な専門や関心を持つ人々が集まり、新たなマレーシア・インドネシア像を求めて参加者どうしで活発な議論を行うことをめざしています。むろん、年齢その他の制限もありません。常勤の職の有無を問わず、研究者として対等にやりとりできる場となることを願っています。
JA'AM世話人がJAMSの関東地区委員を務めていた2002年4月から2006年3月までは、JA'AMはJAMS関東地区と合同で開催されてきました。2006年4月以降、JA'AMはJAMS関東地区と別に活動を続けています。
現在、JA'AMはJAMSの連携研究会としての活動を行っていません。
■2010年度
- 7月4日
弘末雅士(立教大学)
「西尾寛治・山本博之編著『マレー世界における公正/正義概念の展開』(京都大学地域研究統合情報センター、2010年)における論議と今後の展望」
会場:立教大学・太刀川記念館(1階)第2会議室
■2009年度
- 8月14日
山本博之(京都大学)
「「1マレーシア」と国民戦線(BN)体制のゆくえ:サバ州の最近の政治状況を中心に」
報告要旨:
2008年3月の総選挙では、民族別政党の連合体である与党連合・国民戦線(BN)が進めてきた「民族の政治」が機能不全に陥っているとの批判が高まり、国民戦線が野党連合・人民協約(PR)に歴史的「大敗」を喫した。国民戦線と人民協約が厳しく対立する半島部マレーシアでは両陣営が国会議席をほぼ半数ずつ占めるに至った。両陣営の対立の構造が及んでいないサバ州とサラワク州では国民戦線が国会議席を独占したため、連邦全体では国民戦線が政権を維持したものの、政権の安定度はサバ州とサラワク州に大きく依存することになった。2009年4月に第6代首相に就任したナジブ・ラザクは、マレーシア社会の各グループが対等に参加するマレーシア社会の実現を目指す「1マレーシア」(1Malaysia)を掲げた。半島部ではインド系コミュニティ、ボルネオ島部ではサバ州にそれぞれ集中的に「1マレーシア」による恩恵を享受させてきた。本報告では、サバ州の最近の政治状況から、
(1)サバ州では国民戦線の「1マレーシア」が広く受け入れられており、今後4、5年の国民戦線体制の安定度はサラワク州政治が鍵となる
(2)カダザンドゥスン系のバンサ(公認民族)化の傾向が見られ、そのための枠組として「ブミプトラ」が用いられている
の2つが見てとれることを指摘したい。
また、先行する類似の概念である「マレーシア人のマレーシア」や「バンサ・マレーシア(マレーシア民族/国民)」などと比較しながら、マレーシア社会が「スローガンのもとでまとまること」についても検討したい。
■2008年度
- 3月27日
報告:篠崎香織
「マレーシアにおけるメディアの読まれ方――2008年総選挙前後を中心に」
- 2009年2月27日
報告:David C.L. Lim (Open University Malaysia/ Kyoto University)
「Japanese Colonialism as Ideological Quilting Point in Malaysia's Race Politics and Cultural Production」
- 2009年2月20日
JAMS公開フォーラム「『改革(レフォルマシ)』運動から10年――1998年『アンワール事件』を振り返る」
趣旨説明:西尾寛治(防衛大学)
話題提供:三宅和久(共同通信)
コメント:中村正志(アジア経済研究所)
質疑応答・討論
共催:京都大学地域研究統合情報センター共同研究「公共領域としての地域研究の可能性:東南アジア海域世界における福祉の展開を事例として」(研究代表者:西尾寛治)
- 6月20日
報告:鷲田任邦(東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻・博士課程)
「長期政権と財政配分の政治学:マレーシア国民戦線体制の脆弱性と集票戦略」
■2007年度
- 2008年1月18日
西尾寛治(防衛大学校)
「ヒカヤットにおける人間集団の分類に関連した諸概念」
- 12月14日
片岡樹(目白大学等非常勤講師)
「シャム領「海峡植民地」のババ文化:プーケット福建人社会の土地公・会党・「マレーシア文化」」
- 11月24日(立教大学太刀川記念館。JAMS関東地区例会と共催)
報告(1):西芳実(東京大学)
「ダウド・ブルエとインドネシア共和国独立闘争:脱植民地化期アチェにおけるイスラム教指導者の役割」
報告(2):山本博之(京都大学)
「マレーシアの建国過程におけるプラナカンの役割:サバのマレーシア参加の事例から」
- 10月26日
報告:光成歩(東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻修士課程)
「現代マレーシアにおける棄教問題:Lina Joy裁判の論争化過程の分析」
- 10月5日
報告:鈴木絢女(東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻・日本学術振興会特別研究員)
「マレーシアの自由と民主主義:政治的権利を制限する立法をめぐる政治過程の研究」
- 7月13日
報告:桾沢英雄(東京外国語大学大学院博士後期課程修了)
「インドネシア・ナショナリズムの思想:インドネシア・ネーションとは何か」
- 6月29日
報告:西芳実(東京大学)
「「独立」を志向しない脱植民地化:スマトラ沖地震・津波後のアチェ紛争和解過程を見る視角」
- 5月1日
報告:篠崎香織(在マレーシア日本大使館専門調査員)
「20世紀初頭におけるペナンの華人と政治参加」
■2006年度
- 10月6日
「2006年5月ジャワ島中部地震現地調査報告」
報告(1):山本博之(京都大学)
「ジャワ島中部地震:地元NGOによる情報発信の試み」
報告(2):西芳実(東京大学)
「防災教育支援活動:ジャワとアチェを比べて」
- 4月14日
報告:西尾寛治(東洋文庫)
「リアウ・ジョホール王国のブギス人副王家」
- 読書会
テキスト:Tagliacozzo, Eric. 2005. Secret Trades, Porous Borders: Smuggling and States along the Southeast Asian Frontier, 1865-1915. New Heaven: Yale University Press.
2005年度以前の活動の記録はJAMS関東地区の活動記録をご覧ください。
日本マレーシア学会(JAMS)